腰痛は温める?冷やす?|痛みのタイプ別の考え方と研究でわかっていること

腰が痛いとき、「温めたほうがいいの?それとも冷やしたほうがいいの?」と迷ったことはありませんか。湿布にも温かいタイプと冷たいタイプがあり、どちらを選べばよいのかわからないという声もよく耳にします。実は、温めるか冷やすかは、腰痛のタイプや痛めてからの時間によって考え方が変わります。
この記事では、急な腰痛と慢性的な腰痛での考え方の違いや、研究でわかっている温める効果、温め方・冷やし方の具体的な方法と注意点を詳しくご紹介します。
結論:多くの腰痛は「温める」が基本、熱っぽい痛みは「冷やす」
先に結論をお伝えすると、デスクワークや同じ姿勢が続くことで起こる慢性的な腰痛や、こわばりを伴う腰痛は「温める」のが基本です。一方で、痛めた直後で、腰に熱っぽさや腫れぼったさを感じる場合は、冷やしたほうが楽に感じることがあります。迷ったときは、温めたり冷やしたりしたときに「心地よく感じるかどうか」をひとつの目安にしてください。
| 腰痛のタイプ | 主な特徴 | 基本の考え方 |
|---|---|---|
| 慢性的な腰痛 | 重だるい、こわばる、長く座ると痛む | 温めて筋肉をゆるめる |
| 冷えで強まる腰痛 | 寒い日や朝につらい、体が冷えやすい | 温めて冷えを防ぐ |
| 痛めた直後の腰痛 | 急にギクッときた、熱っぽさがある | 熱っぽさがあれば冷やす。落ち着いたら温める |
なぜ温めると腰痛が楽になるのか
温めると筋肉や筋膜がゆるみやすくなる
腰まわりの筋肉や筋膜は、同じ姿勢が続いたり、体が冷えたりすると縮こまって硬くなります。温めることで血の巡りがよくなり、こわばった筋肉がゆるみやすくなります。その結果、腰の重だるさや動かしにくさがやわらぎやすくなるのです。
研究でも「温める」ことの効果が示されている
腰痛に対して温めたり冷やしたりする方法を調べた研究をまとめたコクランレビュー(2006年、9件の試験・1,117人が対象)では、急な腰痛や、痛めてから少したった腰痛の人に温熱シート(腰に貼って温めるタイプのもの)を使ったところ、5日後の痛みが軽くなっていたことが報告されています。また、温熱シートに運動を組み合わせることで、7日後の痛みがさらに軽くなったという試験も含まれていました。
市販で手に入る対処法を調べた2014年の系統的レビュー(13件の試験・2,847人)でも、温熱シートにはその場で痛みをやわらげる効果がみられたと報告されています。ただし、いずれもまだ研究の数が多くないため、効果の大きさについてはさらに研究が必要とされています。
「冷やす」効果は、まだよくわかっていない
一方で、同じコクランレビューでは、冷やすことの効果については「判断するのに十分な根拠がない」とされています。冷やすことが悪いというわけではありませんが、腰痛に対しては、温めることのほうが研究の裏づけがあるといえます。
痛めた直後は「冷やす」がよいとされる理由
ぎっくり腰のように急に腰を痛めた直後は、痛む部分に熱っぽさや腫れぼったさを感じることがあります。このようなときに温めると、ズキズキとした痛みが強く感じられることがあるため、冷やしたほうが楽に感じる方もいます。
ただし、冷やしすぎると筋肉がさらに縮こまり、かえって動きにくくなることもあります。冷やす場合は短時間にとどめ、熱っぽさが落ち着いてきたら、温める方向に切り替えていくのがよいでしょう。
腰痛のときの温め方
湯船につかる
38〜40℃くらいのぬるめのお湯に、10〜15分ほどつかりましょう。腰だけでなく体全体が温まり、腰まわりの筋肉がゆるみやすくなります。熱すぎるお湯は、かえって体が緊張しやすくなるので注意しましょう。
蒸しタオルを当てる
濡らしたタオルを固く絞り、電子レンジで温めて蒸しタオルをつくります。やけどをしないよう温度を確かめてから、腰に当てましょう。乾いたタオルで包むと、温かさが長持ちします。
カイロや温熱シートを使う
カイロや温熱シートは、腰の中央より少し下、骨盤の上あたりに当てると、腰まわりを温めやすくなります。衣類の上から使い、同じ場所に長時間当て続けないようにしましょう。寝るときの使用は、低温やけどの原因になるため避けてください。
腹巻きや服装で冷やさない
腰とお腹を冷やさないことも大切です。腹巻きや、腰まわりが隠れる丈のインナーを活用しましょう。
腰痛のときの冷やし方
- 保冷剤や氷を入れた袋を、薄いタオルで包みます。
- 熱っぽさを感じる場所に、10〜15分ほど当てます。
- 冷たさで痛みを感じたり、肌が赤くなったりしたら、すぐに外します。
保冷剤や氷を直接肌に当てると、凍傷の原因になることがあります。タオルで包んでから使いましょう。
シーン別・腰を温めるコツ
デスクワーク中
長く座っていると、腰まわりは冷えて固まりやすくなります。ひざ掛けを腰からお尻まで覆うようにかける、腰まわりが隠れる丈の服を選ぶなど、座っている間も腰を冷やさない工夫をしましょう。1時間に1回は立ち上がって、腰に手を当てて軽く胸を開くと、温まった腰まわりをゆるめやすくなります。
朝起きたとき
寝ている間は体温が下がり、腰も固まりやすくなります。起きたら白湯や常温の水を飲んで体を内側から温め、布団の中で膝を左右に倒すなど、小さな動きから始めましょう。寒い季節は、寝室の温度を下げすぎないことも大切です。
寝る前
寝る前に湯船につかって腰を温めておくと、寝ている間のこわばりを防ぎやすくなります。お風呂上がりは体が冷えないうちに布団に入り、腰まわりを冷やさないようにしましょう。
温める・冷やすときによくある間違い
- 熱すぎるお湯に長くつかる:42℃以上の熱いお湯は体が緊張しやすく、のぼせの原因にもなります。38〜40℃のぬるめのお湯で十分です。
- カイロを貼ったまま寝る:低い温度でも長時間同じ場所を温め続けると、低温やけどの原因になります。
- 痛めた直後に熱いお風呂に入る:熱っぽさがあるときに体を強く温めると、ズキズキした痛みを強く感じることがあります。痛めた直後はシャワーで軽く済ませ、落ち着いてから湯船につかりましょう。
- 冷やしすぎる:長時間冷やし続けると、筋肉が縮こまって動かしにくくなります。冷やすのは10〜15分を目安にしましょう。
- 温めるだけで終わる:温めて楽になったら、できる範囲で体を動かすことが大切です。
温める・冷やす以外に大切なこと
できる範囲で動く
以前は「腰が痛いときは安静に」と言われることが多くありました。しかし、急な腰痛の人を対象にした研究をまとめたコクランレビュー(2010年)では、ベッドで安静にするよう助言された人よりも、できる範囲で普段どおりの活動を続けるよう助言された人のほうが、痛みや体の動かしやすさがわずかに良かったと報告されています。前述の2014年のレビューでも、ベッドでの安静には効果がみられませんでした。
温めて腰まわりがゆるんだら、無理のない範囲で家の中を歩く、軽くストレッチをするなど、少しずつ体を動かすことが大切です。
こんな様子があるときは自己判断でのケアを控える
日本整形外科学会によると、腰痛には腰そのもの以外が原因になっているものもあります。次のような様子がある場合は、自己判断で温めたり冷やしたり、ストレッチをしたりするのは控えてください。
- 安静にしていても痛みが軽くならない、しだいに強くなる
- 発熱を伴う
- 脚がしびれる、力が入りにくい
- 尿が出にくい、漏れるなど排尿の様子がいつもと違う
筋膜カッパ整体院 豊橋店の考え方
温めることは、腰痛をやわらげるための手軽で有効な方法のひとつです。ただ、温めるとその場は楽になっても、しばらくするとまた腰痛が戻ってしまうという方も少なくありません。その場合は、腰に負担が集まる姿勢や体の使い方、股関節やお尻、背中の硬さなどが背景にあることもあります。当院では、姿勢測定や筋膜の検査などで原因を詳しく確認し、施術とあわせて、日常生活での体の使い方やご自宅でできるセルフケアもお伝えしています。
腰痛の温め・冷やしに関するよくある質問
Q. 湿布は温感と冷感、どちらを選べばよいですか?
温感タイプと冷感タイプの湿布は、貼ったときの感覚が違うだけで、実際に腰を温めたり冷やしたりする力はそれほど大きくないといわれています。貼ったときに心地よく感じるほうを選ぶとよいでしょう。かぶれやすい方は、長時間貼り続けないように注意してください。
Q. お風呂に入ると腰痛が楽になるのに、翌朝また痛くなります。
入浴で温まると筋肉がゆるんで楽になりますが、寝ている間に体が冷えたり、同じ姿勢が続いたりすると、朝にはまたこわばりやすくなります。寝室を冷やしすぎない、寝る前に軽く腰を動かす、起き上がるときは横向きになってから腕の力で起きるなど、朝の腰痛を防ぐ工夫もあわせて取り入れましょう。
Q. どのくらいの期間、温め続ければよいですか?
期間に決まりはありませんが、温めることは毎日の習慣として続けやすい方法です。湯船につかる、腰を冷やさない服装をするといった習慣は、腰痛が落ち着いてからも続けることで、腰痛をためにくい体づくりにつながります。
まとめ|腰痛は「温めて、動かす」が基本
腰痛のときに温めるか冷やすかは、痛みのタイプによって考え方が変わります。慢性的な腰痛やこわばりを伴う腰痛は温めるのが基本で、研究でも温熱シートで痛みが軽くなることが示されています。一方、痛めた直後で熱っぽさがある場合は、冷やしたほうが楽に感じることもあります。どちらの場合も、心地よく感じるかどうかを目安にし、温めて腰まわりがゆるんだら、できる範囲で体を動かすことが大切です。
温めても腰痛をすぐに繰り返してしまう場合は、腰以外の部分の硬さや体の使い方が関係していることもあります。豊橋で腰痛にお悩みの方は、筋膜カッパ整体院 豊橋店へお気軽にご相談ください。
参考文献・参考情報
- French SD, et al. Superficial heat or cold for low back pain. Cochrane Database Syst Rev. 2006;(1):CD004750. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16437495/
- Abdel Shaheed C, et al. Interventions available over the counter and advice for acute low back pain: systematic review and meta-analysis. J Pain. 2014;15(1):2-15. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24373568/
- Dahm KT, et al. Advice to rest in bed versus advice to stay active for acute low-back pain and sciatica. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(6):CD007612. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20556780/
- 日本整形外科学会「症状・病気をしらべる 腰痛」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lumbago.html
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